特集「フライングカー・コーポレーション」インタビュー vol.01

社内講師としての
「フライングカー・コーポレーション」

伊藤忠アーバンコミュニティ株式会社
人事・総務部 鈴木 宏明様

伊藤忠アーバンコミュニティ 鈴木様インタビュー
伊藤忠アーバンコミュニティ 鈴木様インタビュー

社員に伝えたいこと、実践してほしいこと ~「ありがとう」があふれてる会社~

梶原
よろしくお願いいたします。まずは、伊藤忠アーバンコミュニティ様の事業内容について、お教えいただいてよろしいでしょうか。
鈴木さん
はい、当社は不動産管理を行っている会社です。分譲・賃貸マンション、オフィスビル、商業施設など様々な建物を管理・運営してきた実績と伊藤忠グループの総合力を活かし、お客様の大切な資産を守っています。
梶原
ありがとうございます。お客様の資産をお守りする、社会貢献にダイレクトにつながるお仕事ですね。
さて、そのお仕事に対する姿勢も含め、御社で大切にしている理念や方針はありますか。
鈴木さん
はい、大切にしているものがあります。ホームページのトップページに表示していますが、 「『ありがとう』があふれてる会社~社会に笑顔と価値と感動を~」です。これが当社の企業理念です。
梶原
「『ありがとう』があふれてる会社」というのがとても印象的です。
鈴木さん
お客様や取引先に対して、感謝の気持ちはとても大切です。また、職場でも、社員同士で「ありがとう」があふれて、コミュニケーションが活発になってほしいという願いが込められています。
梶原
素晴らしいですね。職場に「ありがとう」があふれているわけですね。
鈴木さん
もっともっとあふれてもらいたいです。最近ですが、社員全員のPCのスクリーンセーバーに、企業理念と行動指針が順繰りに出てくる設定にして、毎日、自然と目に入ってくる状態にしました。
梶原
なるほど、本当によい取り組みだと思います。職場が、もっともっと、「ありがとう」があふれ、風通しの良い職場になるのではないでしょうか。
伊藤忠アーバンコミュニティ 鈴木様インタビュー

『フライングカー・コーポレーション』との出会い ~ 自然と学べる力のあるグループワーク ~

梶原
さて、御社でのフライングカー・コーポレーション(以下「FCC」)との出会いを教えていただけますか。
鈴木さん
プレスタイムは良い研修を行う、との評判を聞きまして、「バスは待ってくれない」(課題解決型のグループワーク)の体験会に出席したのが、プレスタイムとの出会いです。2013年のことだったと思います。
梶原
ありがとうございます。「バスは待ってくれない」はいかがでしたか。
鈴木さん
ワークに力があって、参加者が自然と学んでいくという印象は鮮烈でした。このようなやり方が、絶対に良い研修を作るんだろうなと思いました。私は入社4年目だったときに受けた研修で、ゲーム形式のグループワークを体験しまして、そのときから、このようなワークを行う研修は面白くて深い学びにつながって効果的だなと感じていました。
梶原
鈴木さんも、以前に、このようなグループワークを体験されていたのですね。
鈴木さん
その後、FCCの体験会にも参加しました。これも素晴らしくて、当社でも是非導入したいと思い、同じ年にFCCライセンス取得講座を受講しました。FCCの導入は2014年の新入社員研修が最初だったと記憶しています。
梶原
ライセンス取得講座はいかがでしたか。
鈴木さん
記憶に残っているのは、「おおらかに」という言葉です。FCCは、ファシリテーター(講師)が想像もしていない受講生の行動が、毎回必ず現れますよね。
梶原
そうですね。ブロック部品の購入票を購入以外に使ったり、「時間がないので、納品台数を減らして」と言われたり等、いろいろ出てきますよね。
鈴木さん
本当ですよね。それがまた面白いところなのですが、その際に、ファシリテーターが修正しようとせずに、あわてず、細かいことには目をつぶり、「おおらかに」構えることが本当に大切だと、10年以上実施していますが今でもそう思います。ファシリテーターがやらなくても、FCCそのものが受講生に学びを与える力をもっていますから。
梶原
ファシリテーターとしてのキャリアを感じられるご発言ですね。さすがです。
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『フライングカー・コーポレーション』での学びとは?

《チームづくり》:活動方針を常に意識してもらいたい

鈴木さん
先ほど、「『ありがとう』があふれてる会社」という企業理念の話をしましたが、FCCでも「チームづくり」で、社名と活動方針を作成するセッションがありますよね。なぜ活動方針を作るのか、仕事をする上でどのような意味があるのか。受講生には自分たちが作った活動方針を常に意識してもらうよう心掛けて実施しています。あらゆるところで、「活動方針を意識しているか?」と声を掛けながら、プログラムを進めています。
梶原
それは、徹底していますね。
鈴木さん
「チームづくりの活動方針」を大切にすることは、配属後も、常に「『ありがとう』があふれてる会社」という企業理念を大切にすることにつながりますから。
梶原
理念や方針の大切さを、配属後の姿勢につなげているのですね。

《ビジネスマナー》:ストーリー性があり、実践的に学べるロールプレー

鈴木さん
伊藤忠グループでは、グループ全体で4日間の新入社員研修があります。そのうち1日がビジネスマナー研修です。まずはマナーの基本を知識として知ってもらいます。その後、当社では1ヶ月半の新人研修が続くのですが、その中でも、何回もビジネスマナーの時間をとります。身に付けさせることが必要だからです。マナーをしっかりできるようにしてから、職場に送り出すようにしています。
梶原
FCCのビジネスマナーのパートはどのように扱っているのですか?
鈴木さん
FCCのビジネスマナーの特徴は、電話応対でも、商談でも、実践的な態度や考え方を身に付けられるところだと思います。知識や型を覚えても、実践は違いますよね。FCCは4つのセッションを通してストーリー性がありますが、このビジネスマナーのパートも前後のつながりの中の一つとして、電話応対や商談が位置付けられているため、その成否が次のセッションに影響を与えてしまうという、そんな緊張感のある体験ができるところも気に入っています。
梶原
型も大事ですが、大切なことは「実践できるか」、ですよね。
鈴木さん
FCCのビジネスマナーでは、学んだ型を現場で実践できるように訓練する場にしてもらいたいと考えています。例えば、お詫びのおじぎをするロールプレーに対して、ただ型どおりにやっている場合は、「お詫びの気持ちが伝わってこないよ。そのおじぎで本当に許してもらえるか。」などと伝えたりして、実際の仕事の場を意識してもらうようにしています。
伊藤忠アーバンコミュニティ 鈴木様インタビュー

「笑顔・価値・感動」を呼ぶ『フライングカー・コーポレーション』

《組織づくり》:当社の企業理念「笑顔・価値・感動」を呼ぶ組織実習

梶原
FCCの特徴的なセッションであるブロック模型をつくる《組織活動》はいかがですか?
鈴木さん
ここは正に、当社の企業理念の後段の「社会に笑顔と価値と感動を」を感じられるセッションだと思います。各グループが航空機メーカーとして、顧客であるFCC社に対して、フライングカービエント号の納品という形で、笑顔と価値と感動を与えられるか。どうすれば笑顔になっていただけるか、どのような価値を生み出すのか、その結果、どのくらい感動してもらえるのか。そんな3つの観点を考えながら、本当の仕事としてこの組織活動のセッションに取り組んでもらいます。そればかりではありません。その納品に至ったときの受講生は、皆、笑顔がはじけます。実施側のファシリテーターも、頑張って納品してくれた姿に感動せずにはいられません。
梶原
「笑顔、価値、感動」の理念と相まった素晴らしいFCCを実践されているのですね。

《新たな旅立ち》:新入社員研修全体の仕上げに実施も効果的

梶原
《新たな旅立ち》はいかがですか。
鈴木さん
いいセッションですよね。ただ、時間がおしてしまうと、全く実施できない年や部分的にしか実施できない年もあります。本当に残念なのですが。
梶原
FCCの時間内で行うことが難しければ、新入社員研修の仕上げとして行うのも効果的ですよ。
鈴木さん
当社ではFCCの後も新入社員研修が続きますので、FCCとは別に「新たな旅立ち」を行うのはいいアイデアですね。
伊藤忠アーバンコミュニティ 鈴木様インタビュー

『フライングカー・コーポレーション』が発表されて40年 分冊され、内容も一新した教材について

新版《チームづくり》:ヒント地図が、“学び”の方向へと促す

梶原
創業50周年にあたり、FCCのノートとマニュアルともに、分冊にし、内容も学びやすい表現にしたのですが、いかがでしたか?
鈴木さん
地図作成のセッションでは、新教材で新たに加わった“ヒント地図”を使いました。
梶原
国道3号線が明示されている方ですか?
鈴木さん
そうです。
梶原
解答できたグループは出ましたか?
鈴木さん
3グループ中、1つは、ほぼできていました。
梶原
それはすごいですね。活用してみていかがでしたか?
鈴木さん
「FCCはどこだろう」(地図を作成するカードゲーム)は難易度が高いので、ミスコミュニケーションがいくつも重なってしまうことがよくあります。そうなると、受講生たちは、課題解決をあきらめたり、学びの方向に向かわなくなったりすることもあり得ます。以前から、ちょっとしたヒントは必要だと感じていました。
梶原
学びに向かわなくなるのはよくないですね。ご活用していただいて嬉しいです。
内容を一新したフライングカー・コープレーションの教材

新版《ビジネスマナー》:効果的なミニワークも掲載

鈴木さん
《ビジネスマナー》では、マニュアルに掲載されていたミニワークもやってみました。
梶原
マニュアル31頁の「敬語で話そう」ですね。ありがとうございます。
鈴木さん
ノート12頁の「チャレンジしてみよう」(言葉を敬語表現にするドリル)では、正解をノートから外してもらったのはありがたかったです。今までの形だと、受講生に透けて見えてしまっていたので、やりにくいと思っていました。
梶原
他社様からもご要望がありましたので、そうさせていただきました。

新版《組織づくり》:工程表作成の精度が上がり、フライングカーの納品を促進

鈴木さん
《組織づくり》では、工程表作成の説明やポイントがより丁寧になりましたので、工程表の精度が大分高まりました。以前は、工程表の評価点をつけられないものも多かったです。
梶原
これまでは完成模型のフライングカービエント号を、工程表作成前には一部の役割の人しか見ることができないルールでした。それを今回の改正では、全員に公開するというやり方に変わりましたが、それはいかがですか?
鈴木さん
フライングカーを全員に公開するのかと、とてもびっくりしました。
梶原
全員に見せることによって、工程表作成もやりやすくなったと思いますが。
鈴木さん
グループメンバー全員が、目標物をイメージできることは大きいですね。ですから、今年は勇気を出してビエント号の公開をやってよかったです。
梶原
他社様では、ここまでは、なかなか踏み込めない講師の方もいらっしゃいますが、鈴木さんはチャレンジャーですね。嬉しいです。
鈴木さん
そのおかげか、今年はかなり早く8機完納したグループも出てきました。
梶原
それはすごいですね。
伊藤忠アーバンコミュニティ 鈴木様インタビュー

実施するにあたって、大切にしていること ~ 楽しく学べ、いい思い出になる環境づくりが大切 ~

梶原
鈴木さん位のベテランでも、いつもマニュアルを使われていたのですか?
鈴木さん
当然マニュアルは使います。私が実施するのは年1回ですから、毎年よく準備をして臨みます。特に今年は以前のマニュアルに書いてあったメモを新マニュアルに新たに書き写しました。来年は、もっと新マニュアルを有効に活用できると思いますよ。
梶原
ファシリテーターとして、FCCを実施する際に、何か心掛けていることはありますか?
鈴木さん
もう本当に楽しみなんですよね。今年もFCCが実施できるって。今年はどんなハプニングが起こるんだろう、どんな学びを持ち帰ってくれるんだろうって。毎年、絶対楽しんでくれるのが分かっているし、学んでくれるのも分かっています。それを実現するために、環境づくりをシッカリとやります。
梶原
環境づくりですか。具体的にはどのようなことをされるのですか?
鈴木さん
当社では、FCCは宿泊研修で行っています。服装は私服で行い、皆で一緒に泊まり、夜は飲み会をやるなど、楽しい研修の場を用意しています。
梶原
それは、新入社員にとって、いい思い出になるのではないですか。
鈴木さん
FCCの思い出はどの代の新入社員の心にも残っていると思います。あの研修はとてもよかったと代々語り継がれています。それが、私にとってとても嬉しいことです。ですから、毎年FCCを実施するのが本当に楽しみなんです。
梶原
そこまで、愛していただいて本当にありがたいです。
鈴木さん
FCCで伝えた言葉は、きっと受講生の中のどこかに、無意識の中にでも残っていると思います。それが配属後、仕事をしているどこかの瞬間に、ふっと意識の上に現れてくると思っています。FCCは、そのような力を持っているプログラムだと感じています。ですから、今後も宿泊研修での環境づくりを大切にして、毎年実施するつもりです。
梶原
今後とも、よろしくお願いいたします。今日はありがとうございました。

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