大学4年間、私は体育会の寮(所謂 合宿所です)住まいだったのですが、その時分のお話です。
私が暮らしていた寮は、私が所属していた剣道部と、柔道部と、
2つの異なる部活動の部員同士が寝食を共にする寮でした。
部の違いはあれども一緒に生活をしていたり、大学の授業が一緒であったりすることもあり、
同級生同士は普段から仲良く話す機会も多かったのですが、学年が上の先輩となると話は別です。
同じ部活動の先輩ですら普段から気を使って接しているのに、ましてや他の部活動の先輩となると
なかなか気軽に話しかけることはできません。
(ただ、体育会あるあるですが「元気な」挨拶だけは毎回欠かしませんでした)
特に柔道部の中量~重量級の先輩方はおしなべて皆筋骨隆々、威圧感たっぷりで、
当時細身であった私にとって、とても気軽に話しかけられる雰囲気ではありません。
そんな中、ある時寮の共同浴場で風呂に入っていた時です。
部活動も大会後のオフ期間で、なおかつ授業もない日で、いつもより早く広々とした浴室で
のんびりと入浴を楽しんでいました。
ふと脱衣所を見ると、ひときわがっちりとした体形と強面の柔道部のA先輩が入ってくるではありませんか!
普段、その威圧感溢れる風体も相俟って、あまり話す機会のない先輩と浴室という
閉じた空間の中で内心「どうしよう‥‥」という気持ちで一杯でした。
かといって、ここで一目散に退散したらそれこそ失礼ではないか、と思い、
意を決してご一緒することにしました。
湯船の中で肩を並べて二人して浸かっているとき、「何を話そう・・」と逡巡していましたが、
ふと「そういえばA先輩、顔も怖くてガタイもよく威圧感たっぷりだけど服はオシャレだったよな」と思い、
「先輩、普段服はどこで買っているのですか?と勇気を出して「たずねて」みました。
するとどうでしょう。
少し笑顔で、「駅の近くに〇〇という店があって、気に入っていてそこで買っている」
と教えてくれました。
それから、A先輩が卒業後はプロとして総合格闘技の道に進むという話を聞いていたので、
どこの団体に所属するのかなど、様々なことを「たずねて」みました。
A先輩も笑顔で、そして少し嬉しそうにお話をしてくだったのをよく覚えています。
ほんの10分弱程度の出来ごとでしたが、その後、ちょっとだけA先輩と話しやすくなりましました。
コミュニケーションや人間関係という側面から、この「たずねる」ことを考えてみると、
疑問を解消したり、わからないことを聞いたりするためだけではなく、
相手に対して、仲良くなりたい、もっと知りたいということを示すサインでもあるのではないかと感じています。

良い人間関係を築くにあたり、まずお互いにあいさつ、笑顔で話しやすい雰囲気をつくり、
自己開示をすることが第一歩となりますが、そのうえでお互いに興味関心を持っていることを
しっかりと示すことがより関係を深めていくうえで大切なポイントとなります。
相手が自分のことを「たずねて」くれると、「ちゃんと自分に興味をもってくれているのだな」
「仲良くしたいと思ってくれているのだな」と、嬉しい気持ちなった経験のある方も多いと思います。
そういった面では、「たずねる」ことは、人と人とがより仲良くなるための
コミュニケーション・スキルでもある、といってもよいのではないでしょうか。
~最後までお読みいただき、ありがとうございました。~
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