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【2月】『ファシリテーターの”在り方”とその先』(豊田)

皆様は、「ファシリテーター」と聞いて何を連想しますか?

私は『ファシリテーターは操作・介入せず、一人ひとりと向き合い寄り添える人』と答えます。
何故なら、一人ひとりの「今」と向き合い、その時間「共に在り」その場を瞬間瞬間創り続ける人だからです。

もちろんプレスタイムのホームページに書かれていることも、ネットなどで検索すれば出てくる「ファシリテーター(Facilitator)」という言葉も、
「会議やワークショップなどの場で議論を円滑に進め、参加者の意見を引き出しながら合意形成をサポートする役割を持つ人」のことを指します。

それは、単なる進行役ではなく、場の雰囲気づくりや対話の促進、
時には意見の整理や対立の調整なども行う役割でもありますが、
私はやはりそこに「操作・介入せず」という言葉を加えたいのです。

と言うのも、今から25年前になりますが、私がプレスタイムと出逢いファシリテーターを学んだ時の
師の言われた言葉が私の心を動かしたからです。

その師は体験学習のワークの開発者である星野欣生さんという方で、
「ファシリテーターは操作せず、極力介入しないことが大切だ」という言葉でありました。

当時の私はライフセービングのインストラクターとして活動していたので、
当然受講生にその知識や技術を全て教えていました。

しかし、「確かに知識・技術は伝えられるけど…“心”までは伝えられない・・」
ある時、一人のインストラクターが子どものプログラム中に投げかけた以下の言葉に、そんなジレンマを覚えたのです。

『○○ちゃんは、泳いでは行かれないけど、ボードに乗ってなら行かれるよね』

何気ない一言であり、そのインストラクターとしては子どもを勇気付ける一言だったと思います。
ただ、「泳いでは行かれない」・・その一言に、私は違和感を感じたのです。
その一言は勇気付ける一言ではなく、その子供の将来を否定する言葉に感じました。

そこに悩み、答えが何かを探している時に出逢ったのが「ファシリテーター」であり、「操作・介入しない」と言う言葉だったのです。

多くのインストラクターや指導者や司会進行は、どうしても自分なりの解釈で相手を評価的に見てしまい、
言葉を投げかけることが多い様に思います。
もちろん悪気もなく、当たり前に口にしてしまうのだと思いますが、
ただ、その時に発する言葉には「責任」が伴うことを忘れてはいけないのです。
何故なら、その一言が、そこから先の未来に大きく影響していくこともあるからです。

本来ファシリテーターは、そのインストラクターのように、「評価」し「操作・介入」するのではなく、
その場を心理的安全性の高い場として創り続けることです。
そこで起こる全てのことを「受容」し、一人ひとりが「自由」に発言出来る環境を整える役割を担っているのです。

そして、これは全ての「ファシリテーター」に言えることであり、
ファシリテーターの一言一言には、重みがあり責任を伴うことを忘れてはなりません。

なぜか?

それは前段で話したインストラクターの例の様に、良かれと思い発した言葉(=「泳げない」と断言してしまう)であっても、
その先にある未来を否定してしまう可能性があるということは、とても怖いことだからです。

大切なことは、その時、その場の一人一人が「前を向いて今を生きている瞬間瞬間を創り続けること」を演出することです。

時に黒子の様に場を支え、
時に灯台の様な道標として前に立ち、
時に一人の人に寄り添い背中を押してあげるサポートをする…

そのように、常に周りを見て、その場に在り続ける存在なのです。

私は思います。

「ファシリテーター」への道(学び)は、一人の人間として飛躍するきっかけになると。
人間は、成長し進化し続ける生き物であり、「ファシリテーター」を学ぶことで、その軸(根幹)が創られるのだと私は、勝手に思っているのです。

これからも、学ぶ心を忘れず、前を向いて一歩一歩、共に歩み続けていきましょう。

~最後までお読みいただき、ありがとうございました。~

 

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【ファシリテーターの主な役割】

  1. 目的の明確化:会議やワークショップのゴールを明確にし、参加者に共有する。
  2. 場のデザイン:適切な進行方法や議論のフレームワークを設計する。
  3. 対話の促進:発言しやすい雰囲気を作り、意見を引き出す。
  4. 議論の整理:出てきた意見を整理し、論点を明確にする。
  5. 合意形成の支援:対立がある場合は調整し、合意に向けたサポートをする。

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