BLOG

ノムさんのコラム_Try!コミュニケーション【第11回 「通じ合う」】

10数年前、人文系の出版社に勤めていた時の話です。

とある地方での講演会を開催した際に、大学教授の先生を講師としてお呼びしたのですが、
当時私が担当していたエリア内での開催だったため、最寄り駅から会場までの送迎を私が担当することになりました。

当時の上長からの紹介でその方を招聘したため、全くの初対面の方です。
当時20代の若者であった私は、車で1時間ほどの道中どんな会話をしようか、などと逡巡しておりました。

とある城下町の鉄道駅で先生を車でお迎えし、車を走らせ会場に向かいましたが、
はじめは当たり障りのない、今日の講演の内容やスケジュールの確認等、
いわば仕事上のコミュニケーションを少々ぎこちなく交わしていました。
車を走らせて程なく。

城郭の大手門付近の広場前を通った際になんのきっかけだったか、
「このお城の大手門は昭和時代の再建(さいけん)みたいですよ」
という話を私がしたときに、ふっと空気が変わった感じがしました。

刹那、先生が
「石垣の積み方が野面積み(のづらづみ)※から打ち込み接ぎ(うちこみはぎ)※に近い積み方にみえるな」
と言いました。

「野村さん、もしや城や歴史が好き?」

わたしは驚いて、「どうしてわかったんですか?」とうかがうと、「『再建』という言葉は城郭についての
造詣がないとあまり使わない言葉だからね。」

 

それから気持ちがお互いに「通じ合い」はじめたのを感じ、往路復路の車中は城郭や歴史、
また当時放送していた大河ドラマの話題にいたるまで(もちろん、お仕事のお話も)、話が尽きませんでした。

帰りの駅が近づいてきた際にふと、先生が「この辺で帰りに一杯飲むのによい場所はどこか知ってる?」
と私に尋ねました。ここは酒飲みの勘どころです。

「それなら〇町がよいと思います。よろしければご案内します」

もう言葉を交わすまでもなく、まさに「気持ちの通じ合い」です。
「野村さん、よし、飲みに行こう!!」
私も二つ返事で「はい!そしたら家も近所なので車を駐車場に置いてきます!」

 

先生は当時50代で教授というお立場、私は20代半ば過ぎの若者。ともするとなかなか
「気持ちを通じ合わせる」などというのが憚られるほどの立場の違いがありましたが、
先生の気さくなお人柄もあってか車中同様、楽しい話の尽きない酒席でした。

その後も機会がある毎に一献ご一緒させていただきました。

 

あの時のことを思い返すたびに、人と人が通じ合うのは、案外そんな何気ないきっかけなのかもしれません。
立場や年齢が違っても、好きなことや関心のあることが、何かの拍子に重なった瞬間、自然と心の距離が近づいていく。
あの日の車中で生まれた、あの不思議な感覚を、今でもよく覚えています。

 

野村

~最後までお読みいただき、ありがとうございました! ~

 

※共に石垣の積み方。野面積みは自然石をそのまま積みあげる、打ち込み接ぎは石を
加工して接合面に隙間を減らして積み上げる方法。

*****************************************

研修マニュアル「Try!コミュニケーション」のご案内

****************************************

1テーマ30分で、「知り合う」~「信頼し合う」まで、12のコミュニケーション・ワークが収載されています。
ねらいや時間などに合わせて、また、1日や半日かけて・年に数回に分けて・・など実施方法も選べます。
当マニュアルを使った「研修ファシリテーター認定講座」も好評開催中です!

※「ノムさんのコラム「Try!コミュニケーション」」は、
当マニュアルのワークのタイトルをコラムにし、毎月更新をしています!

「Try!コミュニケーション」詳細はこちらから

「研修ファシリテーター認定講座」詳細はこちらから

創業50周年記念サイト